白石博 研究室

ご挨拶

統計科学は学際的な学問で, 様々な分野で研究され応用されています.
私たちは, 現実に観測されるデータから現象を解析し, 検証するための方法, 統計モデル, その基礎となる統計数理などの研究を行っています.
最近では, 特に高次元データに対する最適ポートフォリオや損害保険における最適配当境界などの統計的推測理論に興味を持って研究しております.
研究室のメンバーは, これらの各問題に対し, 各種統計手法を用いて適切な推定量を提案し, 一致性・漸近正規性などの理論的正当性の導出を目標に研究しております.
また, Rを用いて, 理論の正当性を検証するための数値的な解析を行っています.

白石研究室の学生から

研究について

2008年ごろ発生したリーマンショックと呼ばれる世界的な金融恐慌を覚えていますか? 私たちの生活に影響を及ぼしたあの恐慌は, アメリカのある銀行の経営破綻が大きな要因でした.
たった一つの金融機関の倒産の影響がその国に留まらず世界中に波及し, 国際的な金融危機まで引き起こしたのです.
このようなことが起こらないためには, 私たちは何をすればいいのでしょうか?
このようなリスクを捉える手段として, 適切なデータを抽出し, 統計的処理を加えるという手法が提案されています.
ある学生は, 株価などの時系列データから背後にある確率分布を特定し, それを用いて個別の金融機関の持つ影響力の大きさを測ることでこの事象のリスクを捉えたいと考え研究しています.

学部3年生へ(研究室選びに際して)

現在, 白石研には4年生が4人と修士1年生が1人, 修士2年生が3人, 博士が2人います.
ゼミは, 週に1回全員が1時間程度で勉強した内容をセミナー形式で発表する形をとっています.
自分の卒業研究のテーマに沿ってやるので, 全員内容が違うのですが, 自分の知らない内容を聞くことによってとても勉強になります.
夏季休暇中には合宿もあり, グループでRを使った解析を行います.
研究室について何か聞きたいことがあれば, 創想館4Fにある白石先生の居室, もしくは学生室の14-434に来てください!

白石研究室が行った対外発表等

年 月 発表者 タイトル等
2022年 9月伴尚哉君サポートベクター回帰を用いた時系列モデルの推定
2022年 9月Lin Xuanan君A Stochastic Transmission SIR Model with experience of the 6th wave of COVID outbreak in Japan.
2022年 6月木原泰斗君Nonparametric maximum likelihood estimation for GINAR(p) models.
2020年 9月酒井悠斗君条件付き確率場の確率較正について
2020年 9月茅根脩司君多変量ホークス過程を用いた日本国内におけるCOVID-19の感染波及構造の推定および考察
2019年 9月宇野大我君離散観測データを用いた最適配当境界のノンパラメトリック推定について
2019年 9月酒井悠斗君条件付き確率場を用いた口形遷移情報からの読唇手法の提案と評価
2019年 9月茅根脩司君Multivariate Hawkes Processを用いた仮想通貨の値動きのモデリング
2018年 9月泉澤佑君INAR(p)過程における変化点検出
2017年11月阿部文貴君長期記憶性を持った高次元ポートフォリオの分散に対する収束性の比較(科研費シンポジウム:新潟)
2017年11月泉澤佑君 Hawkes過程によるシステミックリスク評価(科研費シンポジウム:新潟)
2017年 9月阿部文貴君長期記憶性を持ったポートフォリオの分散に対する収束レートの比較(統計関連学会連合大会:名古屋)
2017年 9月泉澤佑君 マーク付き多次元Hawkes過程によるシステミックリスク評価(統計関連学会連合大会:名古屋)
2015年10月大石惇喜君最適配当境界の統計的推定 (科研費シンポジウム:富山)
2015年10月岡紘之君 高次元の下での有効フロンティアの統計的推定 (科研費シンポジウム:筑波)
2014年10月小泉健太君Statistical Estimation for Optimal Dividend Barrier (科研費シンポジウム:新潟)

研究室で書かれた論文のタイトル一覧

2020年度

論文タイトル 学位
GINAR(p)モデルのノンパラメトリック最尤推定について修士(理学)
各種線形バンディット問題のシミュレーションによる比較とその応用修士(工学)
自然言語処理における罰則付き条件付き確率場の確率較正修士(工学)
Hawkesグラフを用いたCOVID-19の感染構造および仮想通貨市場における影響構造の可視化修士(工学)
Synthetic Control Methodを用いたPanasonicによるM&Aが株価に与えた効果の分析学士(工学)
製造業の日経平均株価の月次データの因子分析学士(工学)
SVR-ARMA-GARCHモデルによる変化点検出の性能向上学士(工学)
計数過程を想定した基本再生産数の推定学士(工学)

2019年度

論文タイトル 学位
拡散摂動モデルの下での最適配当境界のセミパラメトリック推定修士(理学)
ソーシャルメディア投稿内容のスコアリングによる株価分析修士(工学)
INARCHモデルに対するmid-分位点回帰学士(工学)
カテゴリカル時系列モデルを用いたDNA配列の分析学士(工学)
無菌性髄膜炎データに関するSPC学士(工学)

2018年度

論文タイトル 学位
Hawkes過程を利用したシステミックリスク定量化修士(工学)
PCアルゴリズムを用いたプロ野球の勝因分析修士(工学)
非線形モデルによるオプション価格の評価学士(工学)
条件付き確率場における推論の信頼度の評価学士(工学)
Multivariate Hawkes Processを用いた仮想通貨の値動きのモデリング学士(工学)
ファジィc平均法を用いた先進国と発展途上国のクラスタリング学士(工学)

2017年度

論文タイトル 学位   
ファクターモデルを用いた高次元ポートフォリオの分散の推定修士(工学)
金融テキストマイニングとその応用学士(工学)
高次元小標本株価データの判別分析学士(工学)
危険理論による保険会社の破産確率の統計的推定学士(工学)
過分散性を持つデータに対するモデルの当てはめ学士(工学)

2016年度

論文タイトル 学位
VAR モデルを用いた将来死亡率予測修士(工学)
最適配当境界のノンパラメトリック推定修士(工学)
高次元における有効フロンティアの統計的推定
修士(工学)
保険会社における最適配当境界のパラメトリック推定修士(工学)
Hawkes 過程によるシステミックリスク定量化学士(工学)
ロジスティック回帰モデルを用いたクアーズフィールドで投手が苦しむ原因の考察
学士(工学)
信用リスク評価における判別分析の利用学士(工学)
オプションによるリスク管理についてのデータ解析学士(工学)

2015年度

論文タイトル学位
データベースのプライバシーをSUMクエリから保護するアルゴリズム学士(工学)
ユニバーサルポートフォリオとその応用学士(工学)
マーケットリスクのCoherent性とポートフォリオ最適化問題学士(工学)
エッジワース展開による漸近展開と、Skew-t分布への当てはめ学士(工学)

2014年度

論文タイトル学位
株主配当問題における最適境界の統計的推定修士(工学)
標本固有値の漸近的挙動学士(工学)
PCAによる次元縮約と多重共線性のあるデータへの適用学士(工学)
状態空間モデルの金融データへの応用学士(工学)

セミナーで使った本

年度対象学年 タイトル等
2020B4Statistics and Data Analysis for Financial Engineering [David Ruppert, David S. Matteson]
B4Multivariate Time Series Analysis and Applications [William W.S. Wei]
2019B4,M1An Introduction to Discrete-Valued Time Series[Christian H. Weiss]
B4保険数理と統計的方法 [清水 泰隆]
2018B4Predictive Modeling Applications in Actuarial Science: Volume 2 [Edward W. Frees]
B3(統計輪講)An Introduction to Discrete-Valued Time Series[Christian H. Weiss]
2017B4     Ruin Probabilities by S.Asmussen, H.Albrecher
B3(統計輪講)入門ベイズ統計 [松原望著]
2016B4リスク測度とポートフォリオ管理 [田畑吉雄著]
B3(統計輪講)Mathematical Methods in Risk Theory by Hans Buhlmann.
2015M1Insurance Risk and Ruin (International Series on Actuarial Science) by David C. M. Dicson.
B4市場リスクの計量化とVaR(シリーズ現代金融工学) [山下智志著]
B3(統計輪講)損害保険数理(アクチュアリー数学シリーズ4)[岩沢宏和・黒田耕嗣著]
2014B4多変量モデルの選択(多変量データの統計科学4) [藤越康祝・杉山高一著](4のみ)
B3(統計輪講)統計学の基礎Ⅰ-線形モデルからの出発(統計科学のフロンティア1) [竹村彰通・谷口正信著](Ⅰのみ)

シンポジウム情報

Keio International Symposium “Statistical Analysis for High-Dimensional, Circular or Time Series Data”(2017/3/2,3)

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